ハチミツ×シュガー



 私の“は?”に、亜衣が珍しくビクビクし始めた。


 ……っていうか。


「亜衣、何の話をしてるの?」


 詳しく聞かなくちゃ、ねぇ?



 私が笑顔で聞くと、亜衣は顔をひきつらせて一歩、後ずさった。





 別に、大した事じゃない。


 兄妹じゃないなら彼の想いが報われる可能性があるだけの事。

 友達としては、お祝いしてあげたいくらいよ?



「――…っていう噂みたい。
 ……洋子知らなかったの?」


 結局学校はサボって2人、駅前のケンタッキーに入った。
 亜衣が空のアイスティーをズルズルすすってるから、私のをあげた。



「……知らなかった」


 噂は簡単に言うと、幼稚園までは一人っ子だった彼女。なのに、いつの間にか兄が出来ていた。しかも同じ年の。

 見た目があまりにも違うから、親の連れ子か2人一緒に住むためのカモフラージュか……みたいな内容。


 ……くだらないよね、全く。



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