ハチミツ×シュガー



『…今どこ?』


 ……電話って苦手だわ。


「そばのケンタッキーだけど。何か買ってくる?」

『じゃあ、コールスローとコーンサラダ頼む』

「了解」


―――ピッ


「…へ? 誰?」

「ん? あぁ、皇くん。
 コールスローとコーンサラダ頼まれたから買ってくるね?」


 私が席を立ってレジに向かった時、


「……だから。2人の関係って何なのよ、もう…」


 亜衣は聞こえないよう、小さく呟いた。
 そんな事つゆ知らず、私はボケーッとレジで並んでいたんだ。




 ……あの日。

 家に上がって夕飯一緒に食べた次の日。おはようの挨拶を終えた時、何故か彼は、


『俺のこと、“皇”って呼んで』


 顔色変えずにいきなりそんな事を言い始めた。
 それからは彼を“皇くん”と呼ぶ事になったんだけど……


 私達の中で何が変わったのか。

 私にはまだ、分かってなかったんだ。




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