ハチミツ×シュガー



「はい、これ」



 教室に入ってすぐ、皇くんに頼まれた物を渡した。


「ああ、ありがとう。
 これで足りる?」

「うん、足りるよ?むしろ多いからちょっと待って?」


 席に座ってバックからお財布を出そうとゴソゴソやってると、


「いいよ。 お駄賃って事で」


 極上の笑顔で言うもんだから、私以外の周りの女の子がキャーキャー騒いでる。



「はあ…。ありがと」



 何だろ。このモヤモヤは。


 もしかしてもしかすると……さっきの亜衣の話のせい?

 もしかしたら、西城くんを騙してるんじゃないかって……私まで思ってるの?



「――藤井?」


 呼び声にハッとすると、皇くんが私のおでこを触って、


「熱はないよな?」


 いやいやいや、

「ないよ…」


 熱はないけど……

 周りの女子の視線が痛いんですけど?



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