ハチミツ×シュガー



 私の後ろは窓。

 教室のドアはご丁寧に閉まってる。



「皇くん、生徒会室行かないと…」

「質問に答えてくれないか?」



 ――ほんっとに何なの?この人っ


 いつも威圧的で。勉強教えてくれる時もいつだって上から目線で!


 ―――あぁ、ムカつく。



 その瞬間。

 ボロっと、本人も予想してなかった物が瞳から零れ落ちた。



「あ…れ…?」


 頬が、濡れた…?



 目の前の彼は、一瞬で目を見開いた。



「――藤井…」

「ご、め…っ 何でもないからっ」



 後から後から流れてくる涙。

 拭っても拭いきれなくて――…


「――ヒック…」


 もう、止められなかった。



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