ハチミツ×シュガー





「ハァ……ッ…ハッ…」



 運動してないと、すぐ苦しくなる。
 大学は広いから校門まで遠い。


 ああ、疲れた……


「藤井!」
「きゃっ」


 いきなり腕を掴まれて、バランスを崩した私地面に倒れ込んだ。


「いっ…たぁ!

 いきなり何するのよっ」


 地面に座り込んで見上げると、元凶の彼は、すこぶる機嫌悪い顔で私を見下ろしてた。

 私も負けじと睨み付ける。


「とりあえず、立て」

 そう言って手を差し出すけど、怒り心頭の私がその厚意を受けるはずもなく、一人で立ち上がった。


「――何が、気に入らないんだ?」


 ため息を吐きながら、駄々をこねてる子供を諭すような口振りで私に言う。


 その態度に、今までの私のキモチが溢れ出した。



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