ハチミツ×シュガー



「――西城が、好きなんだろ?」



 私を力一杯抱き締めながら、他の男の名前を出すの?

 どんな嫌がらせなのよ!


「……き、じゃない…っ」

「――嘘だ」

「好き、“だった”の!嘘じゃ、ない!」




 ひどい人。

 こんな場所で、そんな事言わせる?普通!


「――だって…」
「しつこい…っ!」


 いい加減イライラして、彼を力一杯突き放した。
 私の顔を見た彼は、困惑顔をしてる。

 そりゃそうよね。

 私の顔、きっと涙でぐちゃぐちゃだから。



「私が好きなのは、皇くんだよ…っ

 皇くんが好きなの!」


 こんな事大声で叫ぶなんて……私、筋金入りのバカだったんだ…。



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