ハチミツ×シュガー



「嘘だろ…」



 目を見開いて私を見る彼に

 私はまた、絶望する。



「――嘘よ…」



 ほら。

 言わせるだけ言わせて、私を突き放すの。



「冗談、だから」



 想うのは……いつも私だけ。



「やだ、本気にしないでよ…」



 そうして私はまた、絶望するの。

 ――何度でも。



 あなたを好きな限り……






「――冗談…?」


 彼の驚いた顔が一変、怒った顔に変わった。



「そう、冗談!
 私の恋路を邪魔した罰!」


 冗談ぽく、笑顔で答えてあげる。



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