ハチミツ×シュガー
「――マジかよ…」
私の髪に顔を埋めたまま、彼は大きなため息を吐いた。
そして――
「チッ もう限界」
「はっ ――う、わっ」
そのまま私を肩に担ぎ出した。
「んなっ ちょっ」
「危ないから暴れないで。落とすよ?」
いや、そこは“落ちるよ”でしょ?!
「楓!」
「はっはい!」
私を肩に担いだまま、勢い良く振り返ると、楓の声がした。
「今日は西城の家に泊まって」
――はぁぁぁぁあっ?!
そのまま、また歩き出した彼。
私は慌てて上半身を無理やり起き上がらせると、楓が真っ赤な顔で手を振っていた。
――隣の西城くんの顔のニヤツきが気になる!
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