ハチミツ×シュガー



 『ありえない』?


 私が彼を見つめてると


「――ちゃんと好きだったよ。
 最初から」



 ……“最初から”?


 ――ますます分からないんですけど。



 私はもう理解するのを諦めて、彼の胸にスリスリと頬を当てた。

 目を閉じると、彼の心音が心地よく聞こえてくる。


 このまま、眠りたい……。

 そう願った私の頭上から、


「あの時…」


 ――なんて。話の続きが始まった。


 ……まだ眠らせてくれないみたい。




「あの時……同じクラスになって洋子の趣味を知った時、絶対分かり合えないと思ったんだ。

 先生に指されそうになって仕方なく助け舟出したら、まんまと乗ってくんないし…。
 『ああ、俺嫌われてんだ』って思ってたら、放課後残って下川に話してるのを聞いて……

 『俺、この子が好きだ』って……すんなり心に入ってきたんだ」



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