ハチミツ×シュガー



「……言ってくれれば良かったのに……」


 もっと早くに言ってくれれば。


「――そう言うけど、あの時の洋子は西城が好きだっただろ?」


 目を細めて私を見る彼。


 はぁ?!



「そんな事…っ」


 ガバッと体を起こすと彼は目を丸くして私を見上げた。



「よ、よく言う!
 自分だって楓が好きだったじゃない!」



 ……ああ! 暴走しちゃダメだよっ私!


 ますます切れ長目を丸くして私を見る彼。
 もしかして私が気付いてないとでも思ってたわけ?!



「わ、私だってバカじゃないから気付いてたわよ!いっつも楓を見てた事くらいっ!
 だからっ あの時だって辛くて私のこと…っ」


 ――ダメ。

 泣いたらウザい女になっちゃう。



「あの時?」


 眉間にシワを寄せて聞いてきた彼。


 忘れたっての?!


「あっ あの時!
 家で夕飯食べたあの時っ」



 ――ひどいっ

 全く覚えてないって事?!




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