ハチミツ×シュガー



 彼は私のあまりの勢いに、言葉を失ってるみたいだった。



「……分かってるよ…。
 今はちゃんと“妹”として見てるって」


 君をずっと見てきた私には、ちゃんと分かってる。



「洋子…」

「―――っ」



 何かがこみ上げてくる。

 どうしよう……っ


 この激情に、私は対処出来る気がしない。咄嗟にシーツを体に巻いてベッドから下りようとした。



「洋子!」


 ―――けど。
 皇が慌てて私の腕を掴んで引き戻す。



「……放してっ」


 声を出した瞬間。

 涙が後から後から溢れ出た。



「だから逃がさないって……」


 言いながら後ろから抱き締められる。


「言ってんだよ…」


 彼の溜め息が私の体に触れる。



「……っ……ヒック…」


 回された彼の腕に、私の涙がポタポタと流れ落ちる。



< 626 / 771 >

この作品をシェア

pagetop