ハチミツ×シュガー



 彼女の、全てが愛しい。


 ――そして…



 彼女の瞳に映るもの全てが、

 ――憎らしい。





 けど、仕方がない。



 俺の世界には、

 彼女しか存在しないんだから。






「ねぇ、彼方は私にずっと家にいて欲しい?」


 ベッドで彼女を後ろから抱きしめてると、ポツリと聞いてきた。



 ――何を今更…


「そうだな。 正確には、“俺のそばにずっと居て欲しい”だけどな」


 肩にキスを落とすと、体をビクリと震わせる。

 本当に、可愛い奴。



「……そば、に…」


 眠くなったんだろう。

 自分から聞いてきたくせに、眠気のせいか、繰り返す言葉がぼやけてる。



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