ハチミツ×シュガー
「だぁ――っ!
マジ勘弁しろよっ」
大学に入ってから始めた、お遊び程度のネットビジネスは思いの外うまくいって、このまま卒業しても続けられる様にと、拡大してる最中。
アイツの片割れと俺、2人で代表になり、それぞれ得意分野で業績を上げてきた。
「はぁ…。 もう、限界だ」
あれから更に数日、仕事をつめてきた俺は、パソコンに向かい合う気力もない。
皇は「家でやる」と言って、さっき帰って行った。
まぁ、藤井(皇の彼女)と一緒にいたかったんだろうけどな、きっと。
「――やばい… 俺も“楓欠乏症”だ…」
動かない頭で、瞬時に仕事の進み具合をチェックする。
――よし。 少しの時間なら…
思うより早く、そのまま携帯を取り出し、アドレス帳からアイツの番号を出した。
ピッ
携帯を耳に当て、呼び出し音を聞きながらネクタイを外す。
そして、データを全て鞄に入れ、そのまま事務所の電気を消した。
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