ハチミツ×シュガー



トゥルルル……トゥルル…プッ


『……はい、もしもし』

「もしもし? 俺だけど」


 数日ぶりに聞く彼女の声に、瞬間で、心臓が激しく打ちつける。



『彼方? …お疲れ様』


 いつもの優しい声に、言葉に、今すぐ逢いたくなる。

 めちゃくちゃに、抱き締めたくなる。



『……彼方?』

「あぁ、悪い。

 良かったら、今日これから会えないか?」


 今の時間は18時過ぎ。
 3、4時間は一緒に居られる。


 俺は事務所の鍵を閉めて、そのままビルを出た。

 そしてそのまま、彼女を迎えに行くつもりだった。

 だから…


『ご、めん…。今、友達と調べ物してて図書館にいるの。
 明日の授業で使うものだから、今日中に終わらせたくて…』



 ――断られるなんて、思いもしなかったんだ…。



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