ハチミツ×シュガー



 双子の片割れにこんな感情を抱くのに、名前すら知らない男相手になんて、殺意を覚えたって、おかしくないよな?



 ――なんて…


 皇が事務所を出て行った後も一人、“あの男”への嫉妬を正当化する、理由を探していた。




「――はぁ。 早く終わらせてアイツに電話しないとな…」


 この一ヶ月間先延ばしにしてきた問題を、今日片づけなければならなくなった。

 その原因の皇を恨めしく思いながら、それでも尚、アイツの声を聞ける嬉しさも持ち合わせて、何とも言えない気持ちで仕事を片付けていく。




 ――アイツの声が、聞ける。


 それだけで、こんなに胸が締め付けられる。




 これは、立派な病だ。




 “楓 溺愛病”




 欠乏し過ぎて頭がおかしくなってる。


 今アイツを前にしたら、俺はどうなるんだろうか――…




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