ハチミツ×シュガー



 自分でもコントロール出来ない感情に戸惑いながら、それでも、携帯のアドレスからアイツの番号を呼び出した。


 あとは、発信ボタンを押すだけ。







「……よしっ」


 気合いを入れて、指を動かす。


ピッ

トゥル、トゥルル…… トゥルル……
トゥルル…… トゥルル……



 ――出ない。

 今までなら、そんなにかからないで電話に出ていた彼女。



 もう…

 俺なんて、嫌いになった…?

 もう、俺なんて――



プッ

『……もし、もし…』
「――楓…っ?」




 彼女の、声だ…!


 一ヶ月前と変わらない、愛しいアイツの……



『か、なた…?』



 アイツの声が、震えてる。




< 674 / 771 >

この作品をシェア

pagetop