ハチミツ×シュガー



「何か飲む?」


 リビングに入ると、彼女はソファーのはじに座った。
 その姿を見て、俺はキッチンの中に入り冷蔵庫を開ける。



「…飲み物とか、大丈夫だよ?」


 彼女の声は聞こえたけど。
 それでも、近くに行く事が躊躇われて、棚からグラスを出した。


 ……冷蔵庫には、水しかない。



「……どうするか…」


 ――そういえば…

 最近まともに帰ってきて無かったんだよな。
 そりゃ、冷蔵庫も空だ。



「…彼方…? お茶の場所が分からないの?」


 急に近くで聞こえた声に、体がビクリと跳ね上がる。




「あ…と」
「座ってて? 紅茶、煎れるから」


 彼女はそう言うと、キッチンに入りお湯を沸かし始めた。
 俺は、静かにマグカップを2つ出す。



「――ありがとな」


 ――ダサいな、俺。




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