ハチミツ×シュガー



「かえで…」



 キツく、抱き締める。

 会わなかった間を埋めるように、隙間なく。




「彼方…苦しいよ…」



 彼女が小さく呟いた。



「彼方… 私の事なんて、嫌いになった?」



 声を震わせて…



「私の事なんて… もう、嫌になったの…?」



 体を震わせて…



「いらなく、なったの…っ?」




 彼女の叫びにも似た声に、俺は抱き締めていた腕を離して、彼女を振り向かせた。



「――いや…っ 見ない、で…!」


 涙でぐちゃぐちゃな顔。
 俺に見られないように彼女は俯いて、俺の腕から逃れようと必死に暴れる。




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