ハチミツ×シュガー



「楓…っ」



 彼女の腕を掴んで、呼び掛ける。


「――放して…っ」


 そんな声なんて聞きもしない彼女は、俺が掴んでる手を離そうともがく。



「――嫌だ」


 そう言って力いっぱい掴むと、痛みのせいか、彼女は小さな悲鳴を上げた。




「…な、によ…っ


 私と会わない間に他の子の誘いに乗ったくせに!
 他の子と食事して…ほ、ホテルで部屋まで取って…っ」



 そう叫びながら暴れるアイツに、俺の頭に、急激に熱が生まれた。



「私、なんて…っ」


――ガチャガチャンッ



 食器が割れる鈍い音に、彼女は目を見開いて黙った。





「――ふざけんなよ…」




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