ハチミツ×シュガー



 俺の言葉に、一回、瞬きをした彼女。

 ――瞬間、大粒の涙を落とした。



「か…なた…」


 震える声で俺を呼ぶと、左手のリングを外した。



「私、彼方と結婚出来ない…」




 ――は?


「……だから… これは、受け取れない」


 ハラハラと静かに泣く彼女。


 その小さな手を広げ、リングを返す姿に……



「――俺と、結婚しろ」


 俺は、静かに繰り返した。





 俺の声は、震えてる。


 その言葉に、彼女は顔を左右に振り、リングをテーブルに置くと…




「さようなら」


 静かな笑みで俺を見やり、そのまま立ち上がる。
 そして、俺に背を向けると、リビングを後にした。




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