ハチミツ×シュガー
「いや…っ」
彼女の腕を掴んで、そのまま部屋に戻る。
彼女が何か叫ぶけど、そんなの、何の意味も持たない。
そのまま玄関へ入ると彼女の叫び声を塞ぐように、唇を塞いだ。
「ふっ ――ん…」
――そうすると、彼女は、何も言えなくなるから…。
「……楓…」
彼女の唇から離れると、彼女は息をあげ、涙を流して俺を見上げた。
「俺を、愛してない?」
俺なんて、必要なくなった?
「――ごめん…
お前は、俺といても幸せになれないかもしれない……。
――でも。
俺はお前がいてくれたら、何にもいらないんだ。
幸せ、なんだ…。
だから……っ」
俺の頬を濡らすもの。
それを……
彼女はゆっくりと、優しく拭っていく。
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