ハチミツ×シュガー
「皇ー! ミルクどうするー?」
窓から見える桜に見とれていると、後ろから可愛い声が聞こえてきた。
ずっと聞いてきたその声に、もう今までみたいに一緒に入れないんだと、胸が締め付けられる。
「今日はいらない」
「それじゃ、これね」
はい、と渡された珈琲。
俺よりずっと低い位置にある彼女の顔が、何故だろう。
泣きそうな笑顔。
「皇……一人で大丈夫?」
「俺は大丈夫だよ。むしろ、楓が大丈夫か?
未だに朝遅刻しそうなのに」
俺がニヤリとすると、楓は顔を真っ赤にして俺の腕を優しくパンチした。
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