ハチミツ×シュガー




「大丈夫だもん!」

「あはははっ

 まぁ、彼方によく伝えておくよ。
 楓は朝10回は呼びかけないと起きないぞって」



 言って、俺のカップと楓のカップを窓際のテーブルに置くと、俺の言葉に今度は頬を膨らませて小さくグーを作り、殴りかかる真似をする。

 それを俺は吹き出しながら掴んだ。



「………もう俺は起こしてやれないから。

 ちゃんと目覚ましで起きれるようにしろよ」




 目の前で瞳いっぱい涙を溜めて震える彼女。




 ―――抱き締めたい。



『いくな』って。

『俺のそばにいろ』って。


 言う資格がない俺は……彼女の“兄”だからか。



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