ハチミツ×シュガー




「ははっ 覗き見なんかしてるからだよ」


 言いながら扉を見ると、陰からもう一人、罰悪そうに出て来た人物。



「……ごめんなさい…」

「……え…っ よ、洋子ちゃんまで?!」




「二人とも遅かったな」


 俺がフワリ笑うと、彼方は掴んでいた俺の胸ぐらから手を離した。




「……油断も隙もねぇ」


 大きく溜息を吐く彼方を見て、楓は落ち着かない。



「言っとくけど、俺から言ったんじゃないよ?

 楓が行きたくないって言うか「うきゃ―――っ」


 俺の口を必死に塞ごうとする楓に、俺は吹き出してしまう。……が、そんな姿を見た彼方は、舌打ちと同時に力いっぱい楓を引き寄せた。




「こいつに触れるな」



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