ハチミツ×シュガー









 それから数年が経ち、僕達は五年生になった。



 叔父さん達を“お父さん、お母さん”と呼び、楓が“妹”になったのも慣れた頃―――


 ランドセルを持ってリビングに入ると、楓が泣いていた。




「今日も学校休むの…?」

「やだ……行きたくない…」


 その楓の様子に、お母さんが心配そうに顔を覗き込むけど、楓は俯き目を合わせない。


 それが1ヶ月近く続いたこともあって、僕も心配だった。




「何かイヤなことでもあったの?」

「…………」


 僕の問いにも、俯いたまま答えてくれない。




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