ハチミツ×シュガー



「あ…っ」


 知らない誰かから荷台から下ろされて、手を引かれて走る。

 ……正解にはコンパスの差で、私だけ走ってるんだけど。



「あ、のっ」


 私を引っ張る彼は前を向いたまま、こちらを見ない。

 振り向くと、真弓と皇が叫んでる。



「「――西城!」」




 ――っ


 どうして……?





 ――ってか、速すぎて苦しい!



「はぁ…っちょっと、ゆっくり、に、してっ」

「………」



 ――無視?!



「……西城くんっ!」



 息も切れ切れな私の叫びに、やっと立ち止まってくれた彼。



< 89 / 771 >

この作品をシェア

pagetop