Only One



「いいよ。私でよければ。」

『本当!?』

「うんっ。」

『芹那ちゃん、無理しなくても…、』

「郁人さん、無理なんかじゃありません。智愛ちゃんの彼氏さんを想う気持ちと比べたら、こんなのお安いご用です!」


そう。

こんなこと、無理なんかじゃない。

私が編み物を教えることで智愛ちゃんも、智愛ちゃんの彼氏さんも幸せになれるのなら――…

私はそれだけで十分なんだ。


『芹那ちゃん…』

『芹那ーっ!』

「わっ…」

『大好きーーっ!!』


勢いよく智愛ちゃんに抱きしめられて私も照れる。

私も、智愛ちゃんのこと、大好きだよ。


「…あっ、親子丼!!」

『美味しそ~!』

『こら、邪魔しない。あっち行くぞ。』

『兄貴のケチんぼー!』


私がまた料理を始めると、気を利かせた郁人さんが智愛ちゃんを連れて出て行った。

私も、マフラーづくり頑張ろう!



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