Only One



「で、でも…ッ」

『ん?』

「でも、場所は職場だし、いくらなんでもそこで襲うなんて――」

『分かってないねぇ、芹那ちゃん。…男は女の子を捕まえてヤっちゃうくらい、造作もないことなんだよ?』

「――え…?」


いくらなんでも、職場。

誰かに見られる可能性だってあるし、そんなリスクを考えればそんなところで襲うなんてこと、いくらなんでもしないだろうって…思ったのに。

違うの…?

女の子を襲うなんて、男の人にとってはそんな簡単なことなの…?


『しかも芹那ちゃんは押しに弱いタイプだから、尚更――…』

『兄貴!…芹那が怖がってるから、』

「………っ」

『あ、ご、ごめん、芹那ちゃん。そうゆうことを言いたかったんじゃなくて――』

「郁人さんも、ですか…?」

『――え…?』


男の人がそんなことをするなんて思ってもみなかった私はショックといえばショックだった。

女の子にとってそうゆうことは、だれしも大切な人と――って思ってる子が多いのに、それを男性は――…って、考えて。

だけど、

それよりもショックだったのは、


郁人さんも女の子に対して、そんな風に思っているのかもしれないって


それを想うと、胸が苦しくなってしまった。




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