Only One

『…田中、ターゲットの様子はどうなってる？』


お店の駐車場に車を止めて、智愛ちゃんが通信機であの人に付いている探偵さんに連絡する。


『…ターゲットはまだ店の中です。まだ無理です。』

『んだよ、もう１２時でしょ…？』


車内に、緊張が走る。

あの人がお店にいてはダメだ。

私が中に入れるのは、あの人がいないと確信できた、その時だけ。


『何やら、店長と話してて…。』

『え…！？』

『あ…！今、店から出てきました！』

『田中、尾行！』

『はい！』


一旦、通信が途切れる。


『まだ待ってね、芹那。』

「うん…。」


今出て言ったら、そこで鉢合わせする可能性もある。

今はまだ危険。