Only One
――10分後
『ボス、田中です。』
『ん、どうした。』
『ターゲットは駅前のうどん屋に入りました。今、メニュー広げてます。大丈夫です。』
『了解。…行って、』
『行きますよ、芹那さん。』
「はい…!」
智愛ちゃんのOKが出て、諏訪さんに促されるように車を出た。
5、6日ぶりの風景に、懐かしさを覚える。
『芹那さん、早く!』
「はっ、はい…!」
何ゆったりしてるの、私…!
全く緊張感を持っていなかったさっきまでの自分に渇をいれながら、私は店内へと足を踏み入れた。
カランカランッ
『…天野さん!?』
「戸田さん…店長はどちらに?」
『まだ、店長室にいると思うけど…、そちらの方は?』
店内に残っていたのは、受付係の戸田さんだった。