Only One
『久しぶりね。少し、見ない間に痩せた?』
「そうですか?」
『ちゃんと栄養取ってるの?心配だわ。』
店長…。
これから、私はきっと店長を裏切ることになる。
あんなに、お世話になったのに…――
『芹那、』
通信機越しに聞こえる智愛ちゃんの声。
『迷わないで、お願い。』
智愛ちゃん――…
智愛ちゃんの声が、すごく胸を苦しくさせる。
もう、迷っててはダメなんだ。
「店長、私――…ごめんなさい。」
店長に頭を下げる。
ごめんなさい。
「私…もうここでは働けません。」
こんな私を守るために、たくさんの人が動いてくれているの――。
それを、無駄になんてできない。