Only One
◆苦手なのに、嫌いなのに
厨房のお兄さん
――次の週の、金曜日。
「…っ……」
私はいつものケーキ屋さん…――先週、逃げたケーキ屋さんの前に来ていた。
やっぱり、考え直してみると、とても失礼なことをしちゃったんだって気付いて…
謝ろうって思ったんだ。
……それに、ここのケーキ屋さんが一番美味しいし…。
意を結して、店内に足を踏み入れた。
カランカランッ
「………」
『ぁ、こんばんはっ、芹那ちゃん!』
「……さ、ぇさん…」
入ると、そこには店長である紗英さんがいた。
笑顔の紗英さんに、安堵する私。
『ぁ、今日はどれにする?』
「あ…前買えなかったシュークリーム…!1個くださいっ」
『はい。次は?』
「えっと…――」
今日は満足するお買い物ができて、買ったケーキをもらってニヤケが治まらなかった。