Only One


「そっ、それじゃぁ、お仕事頑張ってくださいね。」

『うん、今の芹那ちゃんの言葉で、頑張れそうな気がするよ。』

「っ…郁人さんのバカ。」


本当に…郁人さんは甘い人。

いろんな意味で。


『ははっ、本当のことを言ったまでだよ。』

「っ…と、とにかく、ケーキ期待してますからね…っ!」

『うん、とびっきりのを芹那ちゃんにあげる。』

「……っ///」


恥ずかしさで、最後は何も言わずに電話を切った。

身体が熱いのは――郁人さんのせいだと思いたかった。

あんな、期待してしまうようなこと言うから。


「郁人さん…。」


早く、帰って来てくれないかな…。

少しでも早く、郁人さんの笑顔が見たいと思った。




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