Only One
『……ぁ。そうそう…先週も来てくれたんだって?』
「え?」
ケーキを受け取り、さぁ帰ろうかとした時、紗英さんにそう言われた。
『けど、中に入って郁人見たら出ていったらしいじゃない。本人は初対面だって言ってたけど……アイツと会ったことあるの?何かアイツに嫌なことでもされた?』
「あ…そ、の……っ」
いくとって……先週、レジ打ちにいた人だよね…?
『あの日は私が急用でいなくてね、郁人に留守番頼んでたの。滅多にレジ打ちとかやんないし、自分が知らない間に芹那ちゃんを傷付けてたらどうしようって…すごく悩んでるんだけど……。』
「あ……っ…ち、違うんですッ!」
『……え?違う…って?』
「その……っ」
弁解したい気持ちはあるのに、申し訳ないって思ってるのに、口が回らない。
それでも、私は口を開いた。