Only One
『うん、こっちが勝手に決めて申し訳ないんだけど――…。』
「ううん。そんなことない。私が我が儘言ってるんだもん。嬉しいよ、ありがとう。」
私がお礼を言うと、智愛ちゃんも笑顔になった。
『それでね、今度働くお店には、もう芹那のことも言ってあるから。』
「え…?」
『申し訳ないけど、そっちの方が警備強化しやすいからさ。ストーカーのことも言ってある。…大丈夫!気さくなおばさんだから。ちょうどね、依頼人がエステサロンを経営してて。頼んでみたら、OKもらったから。』
「そ、そっ…か。」
ってことは、融通が効くって、とらえていいのかな…?
まぁ、良いことには変わりないよね。
『んで、芹那には――…助手ってゆう形で、うちの探偵つけるから。』
「へっ…!?」
じょっ、助手っ…!?
『大丈夫大丈夫!もう店長には言ってあるから。ソイツが探偵だってことも言ってあるからね。でも…エステティシャンの極意をビシビシ、叩きこんでくれていいから!!この職業柄…潜入捜査とかで、役立ったりするから。』
「う、うん…。」
私が気にしてるのは…そこじゃないんだけど…。
こんな私に、助手がつくのかぁー…。頑張らないと。
“お風呂入ってくる”と告げてキッチンから去って行く智愛ちゃんを背に、私は夕飯の支度を再開させた。