Only One



『――離れろよ、うっとおしい。』

『やぁん、さっきまでSEXしてたくせに~。』


ビジネスホテルのベッドにて、煙草をふかせる男と、その男に絡む女のカップルがいた。


『お前だって、アンアン鳴いてただろ。』

『だぁって~…柊斗(シュウト)ってば上手いんだもん~!たくさんイッちゃった…♪』

『当り前だろ。…っつーか、下の名前で呼ぶな。俺とおまえは、肉体関係以外、何の意味もない。』

『…分かってるわよ、“木下さん”』


煙草を灰皿で潰すと、また一本、煙草に火をつける男。

この男こそ――…芹那のストーカー。

隣の女は、今日、芹那が店に来た時に受付にいた、戸田。


『前払いはヤッただろ。それで、何だよ。話したい事って。』

『ふふっ…来たわよ、アノコ。』

『は…?』

『天野さんよ。天野 芹那。』

『っ……!?』


今まで待っていた。

芹那の情報を。

あの日、突然いなくなった、芹那の消息を――。

木下は、我を忘れて戸田に言いよる。


『おいっ、それっていつだ!?』

『今日の昼…店に――』

『っ…何でそれを早く言わない!?』

『あっ…やっ、待って、さっきシャワー浴びたのにっ、ぁぁっ』


苛立ちを外に出すかのように、戸田の感じるところをひっかく。


『あっ、あっ…気持ちいっ――もっとぉっ…!!』


最早戸田は、木下のいいなりであり、木下に身体を開発されていた――。




< 143 / 212 >

この作品をシェア

pagetop