Only One
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『芹那っ、もう行くよ~!?』
「まっ、待ってー!」
階段の下の方で、智愛ちゃんが呼ぶ声が聞こえる。
鏡の前に立って、今日のファッションチェック。
郁人さんが似合うって言ってくれた洋服で身を包んだ私。
…よし、OK!
『芹那ぁー…』
「はいはいはいっ、ごめんね!」
待ちくたびれたように顔を崩している智愛ちゃんの元へ急ぐ。
階段を駆け下りて、智愛ちゃんの目の前に立つと、突然智愛ちゃんが何も言わなくなった。
「智愛ちゃん…?」
『芹那…――可愛い~!!』
「へっ!?」
朝から、智愛ちゃんに抱きつかれる。
…な、何で?