Only One
――『ようこそ、芹那ちゃん。我が店へ!』
私がこれから勤めることになる職場は、案外家から近い所にあった。
中に入ると、開口1番に歓迎されて、緊張していた心が自然とほぐれていく。
「初めまして。今日からここに勤めさせていただきます、天野 芹那です。よろしくお願いいたします。」
『『よろしくー!』』
ちょうど私が行った時はお店の朝礼の時で、早速自己紹介。
隣には、智愛ちゃんもいた。
『店長、芹那のシフトは――…』
朝礼が終わると、私たちは店長室に招かれた。
智愛ちゃんがいろいろと店長さんと打ち合わせ(?)をしている。
そんな智愛ちゃんの隣にいるのが、私のアシスタントに入ってくれるという・・・星川 音海(ホシカワ オトミ)さん。
なんだか規則は絶対!!みたいな雰囲気をしていらっしゃる女性だった。
これも智愛ちゃんの配慮だろう。
一番身近にいる人は、私が何でも言える人の方がいい。
そうだとしたら、女性の方が悩みとかも言いやすいから。
――でも、それでも言いにくい女の人って、いると思う。
…と、すこし思った。