Only One



「ぁのっ……だから、その…っ……」

『ん?』

「“ごめんなさい”って…不安にさせてごめんなさいって……伝えてくださいっ」



謝りたいけど、面と向かっては言いたくない。

極力、男の人と一緒にいたくない……


――なんて、我が儘かな…?



――『ダメよ。』

「え……」

『そうゆうことは、ちゃんと相手に伝えなきゃ。直接ね。』

「っ……でもっ、私……!」



やっぱり、そんなのは我が儘でしかなかったみたい。


『申し訳ないって思ってるんなら、会って言った方がいいんじゃない?』

「っ……」

『郁人なら、厨房にいるよ。いつもは関係者以外立ち入り禁止なんだけど……芹那ちゃんは特別!いっつも贔屓にしてもらってるからね♪』

「えっ、ちょっ…!?」


いたずらっ子の笑みを見せた紗英さんに手を引かれて、厨房へと連れてこられた。






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