Only One



「あなたの歪んだ愛から始まったことは、もう十分に分かったわ。でも、私たちはそんな事を聞くために、アンタをここに連れてきたんじゃない。芹那をどこにやったの?芹那は今どこにいるのっ!?」


首謀者が戸田だと分かったからには、このままサツにいかせようなんて甘いことはしない。

芹那の居場所をはくまでは、ここからは一歩も出さないわ。


静まりかえる室内で、戸田は口を開こうとしない。

そこまでして、戸田は何を守りたいのだろうか。


このままじゃ埒があかないと思った智愛は、隣にいる部下のポケットから煙草を取り出した。


『何するつもりですか?ボス』

「決まってんでしょ――。」


煙草に火をつけ、それを口にくわえた智愛は、戸田に近づいた。


「そこまでして何がしたいかわからないけど――こっちもこっちで急いでるの。早く言わないと――この燃えカス、アンタの真上に落とすよ?」

『ッ――!』


芹那の居場所を言わなければ根性焼きをすると言われた戸田は、一気に青ざめる。

けれども、口を開こうとはしなかった。



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