Only One



「いやぁっ――ぁああーーっぁ!」

『暴れたら、電流流すって、言ったでしょ?』


強すぎる刺激に、目がチカチカして、息が停まる。


「はぁっ…はぁっ」

『また暴れたら、今の2倍にするから。』

「ッ――…」


本能がザワザワと騒ぐ。

これ以上されたら、死ぬ。

そう言っていた。


そうしたら、身体が固まって、抵抗なんて出来なかった。

そんな私に満足したのか、木下は笑顔になり、またあの針を持つ。


「っ…」


もう、終わりだと思った。

入れられる針をもう見たくなくて、目を瞑ると――


バンっ!

『芹那ちゃんッ!!』

「っ、」


勢いよく扉が開く音が聞こえて、とっさに目を開けると――…


「い、くと…さん?」


夢にまで見た、郁人さんが息を荒げて、そこに立っていた。



< 190 / 212 >

この作品をシェア

pagetop