Only One



ジャラ…ッ

「い、くと…さ」

『っ、――芹那ちゃんッ!』


とっくの昔に限界を超えた私は、ベッドの上でバランスを崩し、落ちる寸前に郁人さんに抱きとめられた。


「はぁっ…は」

『芹那ちゃん…ごめん、本当にごめん!』

「いくと…さん…っ、」

『ッ、』


今にも泣きそうな顔をする郁人さんの頬を、震える手で触れた。


「助けてくれて、ありが…とう。これで…っ、おあいこ、ねっ…?」

『芹那ちゃん――』


郁人さんに包まれて、安心したのか、どんどん意識が遠のいて行く。


『…芹那、ちゃん?』

「―――」

『芹那ちゃん!』


私、幸せだなァ…

だって、こうして郁人さんに抱きしめられながら、死ねるんだもん――。



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