Only One
―――ピッ、ピッ、ピッ
聞きなれない電子音が、病室に響く。
一定のリズムが、まだ芹那ちゃんが生きてるんだと知らせてくれた。
『兄貴…私たち、警察に呼ばれてるから先に行くけど――』
「…ぁあ。悪いけど――」
俺の横には、智愛と星川さんもいる。
『分かってる。もうちょっと芹那の傍にいてあげて。』
「――ぁあ。」
静かに智愛と星川さんが出ていって、病室内には俺と芹那ちゃんの二人きり。
「芹那ちゃん。――ごめんね。守って、あげられなくて――」
眠ってる芹那ちゃんは何も言わない。
木下に一撃をくらわせた後、意識を失ったままの芹那ちゃん。
早く、いつものようなあの笑顔を見せてよ、芹那ちゃん――。
ガラッ
『芹那ッ!?』
そんな時、病室に入って来た中年の女性。
その女性は、どこか芹那ちゃんと面影が似ていた。