Only One
『それにしても、あの子が男の人に頼るなんて――』
「え?」
お母様の独り言に俺が驚くと、
『あら、芹那から聞いていないの?』
と、かえって驚かれた。
『まぁ、確かにこんなイケメンくんには、いいづらいわよね…。』
「あの、何の事、でしょうか?」
恐る恐る聞いてみると、意外にもお母様は簡単に教えてくれた。
『芹那の男性恐怖症になった理由よ。』
「――え。」
お母様の言葉に、俺は固まる。
そう言えば…未だ、聞いたことはなかった。
なぜ、芹那ちゃんが男の人を嫌いになったのか。
あまりに芹那ちゃんが自分に対して自然に接してくれたから、気にもしなくなったんだ。