Only One
―――『…ちゃん、芹那ちゃんっ』
「――…ぃくと、さん…?」
ここは――?
長い眠りについていた気がする。
まだ眠りたい意識が残る中、無理矢理に重たいまぶたをこじあけた。
その瞬間、目の前には、広がる白の世界と、私を呼ぶ郁人さんがいた。
『芹那ちゃん…良かった――』
私の声に反応した郁人さんが安堵の表情を浮かべた時、左手にあったぬくもりが消えた。
『あれから3日間ずっと、眠ってたんだよ、芹那ちゃん。』
「え・・・?」
長く眠っていたと感じたあの感覚は、やっぱり正しかったらしい。
そんなに長く――
「ごめんなさい、郁人さん…。」
良かった、と繰り返しつぶやく郁人さんの姿を前に、とても心配してくれてたんだと分かった。