Only One
『いや――俺こそ、…ごめん。』
“ごめん”
この一言が、なぜか脳にズシンと響く。
『俺…君を守るって言ったくせに、何一つ、守れなかった。』
郁人さんの言葉が、右から左へと抜けていってしまう。
これじゃぁまるで――
一生のお別れみたいな―――…
「郁人さっ――」
『ごめん。』
目覚めたばかりの私には、郁人さんの手を掴む力もなくて、
私に背を向けていってしまう郁人さんを目の前に、私は――
ガッシャァーンッ
『っ!!?』
「いっ――」
『芹那ちゃん!!』
郁人さんを失いたくない一心で、郁人さんを追いかけようと立とうとすると、ベッドから転落してしまった。
その拍子でものすごい音が響き、郁人さんが駆けつけてくれた。