Only One



ジャーッ

木下さんが蛇口をひねった。


この二人だけの空間には耐えられない。

つくづく、私は男の人とはいられないことを思い知らされる瞬間。


早く石鹸を落として、更衣室に行こうとした私を、


『天野さん、』


木下さんが、止めた……。


「は、はぃ…。」


俯き加減に、木下さんの方へ身体を向ける。

なぜか分からないけど、すごく……木下さんの私を見つめる瞳が…怖く思える。



大抵の男の人も怖いと思うけど、

でも木下さんは……そんなの比にならないくらい、

怖い何かを持ってるんだ…。


『ぁの…さ、』

「は、ぃ…。」


一歩、木下さんが近付いてくる。

その瞬間、私も一歩後ずさった。





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