Only One



『…ったく、芹那は油断の隙もないなー。』

「………。」


嫌みのようにそう言われる。

そんな中、自分の携帯を取り出した木下さん。


「……な、に…してるんですか…?」

『クスッ…何って、赤外線通信だけど?』

「っ!?」


木下さんの行動の意味が分からない。

この人、私に嘘ついておいて、私のアドレスも交換するつもりなの…?


やめて、なんて言えなくて、気付けば、電源の落とされた私の携帯を返された。


『中々、岡野さんとか松本さんとかに芹那のアドレス聞いても教えてくれなくてさー。強情な奴らだったよ…。』

「…ッ!!」



本当にこの人、サイテー!!

他人のアドレスを勝手に教えるなんて、プライバシーの侵害にもほどがあるのに…っ!

それを、強情!?

意味分かんない!

今すぐ帰りたくて帰りたくて仕方なかった。


でも、

『お待たせいたしましたー!』


運ばれてきたおでんと、ウーロン茶に、帰ろうにも帰れなくなってしまった。





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