Only One
『芹那はさぁー、固すぎなんだよ。女だけじゃなくてー、男にも付き合いってもんが必要なんだからさぁー。』
「………」
運ばれた生ビールを飲んだ木下さんは、お酒に弱いのか、すぐに酔っぱらってしまった。
お酒を飲むと人は変わるっていうけど、この人は叱りモードに入ってる。
さっきから、私は全く関係のないことで木下さんに説教されていた。
『まぁ、そのおかげで?ふふっ…芹那は純粋なままでいてくれたんだけど?ふふっ……』
しかも、俺は芹那の彼氏だと言い張ってるような口調。
私はあんたのものじゃないと言ってやりたいが、そんなこと、言える術もなく……
『芹那~…そんあ照れんなよ~!俺と芹那の仲だろ?』
「ちょっ…ッ!」
こっち来ないで!
酔っぱらった木下さんがこっちに回り、肩に腕を回してきた。
触らないで…っ
『俺ー、芹那とだったら結婚しても良いと思ってる。』
「!?」
『実はぁ―、母さんにもちょっとだけ言ってるんだ。今、結婚したいって思ってる女がいるって。』
「ッ……!!」
有り得ない!
そんな話、私は知らない!!