Only One
「や…っ」
『ふふっ、やじゃないでしょ?芹那~?』
「ッ…!」
居酒屋から少し離れた小路地。
中々人は通らない。
木下さんの、瞳が……怖い――…ッ
『そう、その顔♪俺、その芹那の怯えた顔が好きなんだよねぇ…。』
「や、め…っ」
『やめないよ?』
「ッ…」
弧を描くように、頬を木下さんに触られる。
巷でカッコいいエステティシャンと評判されていても、木下さんは怖い。
背中に悪寒が走る。
『身体も敏感そうだし…、イイ声で鳴いてくれそうでさ……ゾクゾクすんの、俺。クスッ…』
「っ……」
狙われてた?最初から…。
あの殺気は、やっぱり……、
『仕事中もさ、芹那が接待してるの見ると、集中できなくなんの。重症だろ…?こんな風にしたの、芹那だよ?』
「っ…そ、な……」
『クスッ…だって俺、こんなに独占欲が生まれたの、生まれて初めてだし。だからー…芹那のせい。』
「ッ…!」
木下さんを、こんな風に変えてしまったのは…私?